日本語版

電話帳と地図

 電話帳と地図を見るのが好きだ。

 以前は(と言っても、どれくらい以前か?)、駅前には、公衆電話ボックスがあり、

 そこには、分厚い百科事典のような、電話帳が置かれていた。

 携帯電話などない時代なので、電車から下車したら、即、公衆電話ボックスを目指した。

 雨降りなら、家の人に、迎えを頼んだものだ。駅には、必ず伝言板が設置されてあった。

 携帯電話のない時代の、長閑な光景だ。

 その電話帳は、固定電話が普及し出した頃から、各家庭に無料配布されていた。

 大きな電話帳を開いてみると、そこには、個人の名前、住所が記載されてある。

 私はそれを見るのが好きだった。同姓同名の人、また、変わった名字の人、それを眺めては、

 想像を巡らして、楽しんでいたのだろう。

  近頃は、固定電話を持たない家庭も増えたようで、電話帳の配布もなくなったようだ。まあ、

 個人情報満載の電話帳は、消えゆくものだったのだろう。

 代わりに、地図を見るのが楽しい。昭文社の「分県地図」や、ライトマップルの「道路地図」を

 各県ごとに揃えてある。(と言っても、自分の移動する範囲での地図だけ)

 それらの地図を広げて、車の移動に使っている。

 ナビも、勿論利用しているが、その前に、赤鉛筆を持って、自分の行く先を辿るのが、また楽しい。

 昨日は、代官山まででかけてきたが、代官山の駅を利用しないで、恵比寿駅から徒歩でも、同じ目的地に

 着けるという発見があった。

 地図を見ながら、ミニ旅行をしている。

 神奈川県に引っ越すことが、ほぼ決まったので、神奈川の地図を見ながら、ここはどうかな?

 あそこはどうかな?と、赤鉛筆を持って、楽しむことが増えた。

 地図を見ながら、想像してみる時間、悪くない楽しみだ。

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