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銀座 V帽子店にて過ごすひととき。

今日もまた、蒸し暑い1日になるのだろうな。

 それでも、さしたる災害のない状況に、感謝して過ごそう。

 一昨日は、形の崩れてしまった、紳士用中折れハットを直してもらいに、仕事を中断して、

 2時間ほど、v店で過ごすことになった。

 この店との付き合いも、かなり長い。30年ほどになるだろうか。

 店長夫妻や、帽子職人の方が、とても温かく、気さくな方達なので、長い付き合いを続けさせてもらっている。

 ときには、ソファーに座って、紅茶をいただきながらの、紅茶談義などしたりして、心地よい時間を過ごすことに

 なる。

 どうせ、中折れハットを直してもらうのだから、ついでに、私の帽子も直してもらうことにした。

 私の愛用の帽子も、かれこれ10年以上使用してきていて、本人同様、かなりヨレヨレになり始めている。

 夏用黒のオーガンジーの帽子は、シルクのリボンが、ヘタっているし、つばが下に下がりすぎている。

(これ以上下がれば、前が何も見えない状態だ。)

 店長は、この帽子に糊付けし、リボンを交換し、つばの先端にワイヤーをいれて、下がりを直すのだとか。

 夏用アイボリーのオーガンジーは、汚れも目立つので、一度洗ってからの直しになるそうだ。

 麦わら帽子は、長年の使用で、つばが広がりすぎて、収まりがわるくなってきている。

 この麦わら帽子は、つばを短くカットし、素材の違うシルクのリボンをつけて、全く別の麦わら帽子に

 しようと、提案された。

 いつも、私の期待通りの帽子に仕上げてくださるので、安心して、お任せしている。

 一つの帽子を、大切に大切に、いつまでも使い、時にはお直ししてくれるから、ひと夏過ぎれば、もうお仕舞い、

 ということなく、何年も使用することになる。

 何年も使用することで、帽子のほうも、私に馴染んでくる気がしている。(着物も、着こなすと、肌に馴染んでくるが、

 あれと同じような感覚だ。)最初は、帽子に遊ばれていた感じだったが、30年も付き合いを続けていると、

 帽子の方でも、私に寄り添ってくれるようになった。

 帽子と私の、深い間柄は、これからも、続いていくことになるのだろうなと、思っている。

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